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3000万特別控除とは

※写真はイメージです。

相続した土地や家を売却など、不動産における売買において利益がでた場合は譲渡所得に対して税が掛かり、支払い義務が発生します。

マイホームなどの不動産を売却時に、当該物件の取得費や売却時の経費を引いても利益(譲渡所得)が出た場合に対して、所得税がかかります。この税金は譲渡所得税といい、給与所得などへの税金とは別に計算されます。

この譲渡所得に要件を満たしていれば特例の控除措置があります。
3000万特別控除となります。
相続時に活用すれば税金の負担を大きく減らせる制度です。
とても大きな節税効果があり、控除の結果、譲渡所得税がかからないケースもあります。

相続物件の税金控除特例

不動産を相続し、相続税を支払ったうえで3年10カ月以内(被相続人の死亡日から経過)に売却した場合は取得費加算という特例を利用できます。
取得費加算とは、相続の際に納税した相続税の一部を、物件の取得費として加算すできる特例。課税の対象となる譲渡所得は次のような式で計算できます。
譲渡所得= 不動産の売却価格 -( 取得費用 + 譲渡費用)- 特例控除
 
相続税の一部を取得費用に加算できるので、その分譲渡所得を安く抑えることができます。
譲渡所得は、譲渡によって得た収入から、かかったお金などを引きます。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
 
3,000万円控除が適用された場合、この譲渡所得から3,000万円を差し引きます。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
 
譲渡所得税は譲渡所得に税率をかけて求めます。
譲渡所得税=譲渡所得×税率
 

この税率については、不動産の所有期間によって変わります。
 
・長期譲渡所得(5年超) 所得税15% 復興特別所得税0.315% 住民税5%
・短期譲渡所得(5年以下) 所得税30% 復興特別所得税0.63% 住民税9%
 
それぞれの税率の合計が、実際の税率です。つまり、長期所有の場合20.315%、短期所得の場合39.63%ということになります。
居住用財産を相続した場合、以下の条件を満たせば3,000万円控除を受けられる
3,000万円控除は、「居住用財産の特別控除」と「空き家の特別控除」で必要な要件が異なります。

居住用財産の要件

次の要件のうち、一つでも満たせば3,000万控除を利用できます。

・居住している家屋やその家屋とともに譲渡する敷地の譲渡の場合。
・転居した日から3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)。
・災害などにより家屋が滅失した時、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合。
・転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外になります)。
 
上記を見る限り、自宅でさえあれば利用できるという事です。
相続に関係する場面でいえば、被相続人(故人)が生前に不動産売却すれば当然使えますし、被相続人と同居している相続人が、相続後に不動産売却しても利用することができます。

空き家の特別控除

相続により遠方で暮らす親の自宅を死後に引き継ぐというようなケースも多いでしょう。相続した空き家についても、一定の要件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」を受けることが可能です。適用されるための要件は居住用住宅の場合と比べて厳しく利用しにくいです。

家屋に関する要件

・相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
・昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること
・区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
・相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
・相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
 
昭和56年5月31日のこの日は耐震基準が改訂された日で、これ以前に建築確認申請を行った建物は現在の新耐震基準を満たしていない可能性があり、災害などでの倒壊のリスクが高い建物ということになります。

家屋を取り壊している場合は以下の要件

・取り壊した家屋について相続時からその取り壊しの時まで、事業用、賃貸などの貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと。
・土地について相続の時からその譲渡の時まで、事業用、賃貸などの貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと。
 
駐車場などに貸していると控除が使えないということです。

被相続人が老人ホームに入居していた場合

長年一人暮らしをされていた方が老人ホームに入所され、空き家を残して亡くなられた場合も、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用対象となります。以下の要件を満たしている必要があります。

被相続人が老人ホームに入居していた場合の要件

・被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、相続開始の直前まで老人ホーム等に入所していたこと
・被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続の開始直前まで、その家屋について、被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業の用・貸付の用または被相続人以外の居住の用に供されていないこと
 
空き家の3,000万円特別控除を利用する場合、不動産の譲渡にも要件があります。

譲渡に関する要件

・売却代金が1億円以下であること
・家屋を譲渡する場合、譲渡時において、その家屋が現行の新耐震基準に適合するものであること

適用される期限の要件

3,000万円控除を適用するためには、物件を売却した日が一定の期間内でなければなりません。
そして、この制度自体に期限があり3,000万控除の適用期限は、平成28年(2016年)4月1日から令和5年(2023年)12月31日までの間です。

空き家の特別控除に必要な書類

相続した不動産が空き家の場合は、家屋を取り壊して売却するかどうかで必要な書類が異なります。

家屋を売却する場合

・「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕」
・「登記事項証明書」など(次の3つの事項が確認できるもの)

①売った人が被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を被相続人から相続または遺贈により取得したこと。
②被相続人居住用家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
③被相続人居住用家屋が区分所有建物登記がされている建物でないこと。
 
・「被相続人居住用家屋等確認書」
・「耐震基準適合証明書」または「建設住宅性能評価書」の写し
・「売買契約書の写し」などで売却代金が1億円以下であることを証明できるもの
 

家屋を取り壊して売却する場合

「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)〔土地・建物用〕」
「登記事項証明書」など(家屋を売る場合と同様の①〜③が確認できるもの)
「被相続人居住用家屋等確認書」
「売買契約書の写し」などで売却代金が1億円以下であることを証明できるもの

昨今土地などの価格が高騰傾向にあります、この3,000万控除が適用できれば大きな節税対策となります。非常に魅力的な制度です。
勿論、相続ではなくお住み替えなどのマイホーム売却の際にはもちろん利用するでしょうが、相続が関わってくるようなケースでは相続前に譲渡するか、相続後に譲渡するか迷うことも多いと思います。

相続とは非常に心身的に疲れている中で進めなけばなりませんし、両親が暮らしていた実家を処分するとなると、お金の問題だけでは割り切れない状況も多いでしょう。
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